<<1 R>>
当日は、何件はしごをしてどのくらい飲んだだろうか、先輩3人としこたま飲んだ私はきもちわるくなり、駅前の交番近くでゲロを上げていた.
すると、交番の方で揉め事が起きていた.
ふらりふらりと近づくと、先輩のFさんが警官に詰め寄っていて、一触
即発の雰囲気である.
理由がよくわからなかったが、とにかく止めに入った.
そんな時、みんなの制止を振り切って剣道の得意のFさんは右手に持っていたバックを伸ばして警官に『面』を取りに行った.しかし、かすった程度で無効であった.
「何をするんだ!逮捕する」さすがに警官も怒った。
お互いに怒り丸出しで詰め寄るのを、私はFさんを止め、もう一人の先輩Aさんは警察官側に止めに入った.
「邪魔をすると公務執行妨害だぞ!」警官が叫んだ。
この時、警官側もいつのまにか二人ほど来ていて、
「俺はケンカを止めに入っているだけだぞ〜」と言うAさんをあっという間に交番に連行していた。
そして柱に押し付けられた左手に手錠がかかりそうになった時、私は交番の外に向かって大きな声で叫んだ。
「一般市民の皆さん、今、警察が何もしていない人を逮捕しようとしています」
「一般市民の皆さん、・・・・」2回は途中で止めた気がする.
何故なら、ここでAさんの左手にかけられた手錠が締まる寸前で外されたからである.
この機を逃さずに私は、言った.
「お互いに感情的になり過ぎてるんじゃないですか?」
「今日のところは私達も多少酒を飲んでいたので良く反省します」
そう、言ってそそくさとその場は引き下がって一度駅前まで撤退した?
<1 R 終了 10:10でドロー>
…休息
しかし、FさんとAさんは興奮冷め遣らず
「俺のことはしょうがないが止めに入ったAを逮捕しようなんてふざけてる許せない」
「俺もその点だけは抗議したい」とAさん、
私が1R終了後に缶コヒーを飲ませて落ち着かせ、足りてないようなのでもう1本ずつ飲ませたのに二人の怒りは収まらず、とうとう協議の結果、多数欠で再度抗議に行くこととなった.
<<2 R>>
「お邪魔します、さっきのことだけど・・・」
駅前交番に押しかけると待機中の人も含め5、6人いただろうか、ちょっと驚いた様子だったがイスを用意してくれ意外と冷静な話し合いになった.
じつはFさんは数日前に十数万入った財布を落としたのだが、その時の対応が不親切だったのでそれを根にもって、酔った勢いで交番の建物に向かって小便をかけたそうである.
それを咎めた警官と言い争いになったとのことである.
だけど、交番の警官は、話はよく聞いてくれたが向うだって面子もあるし謝る道理もないのか、話は平行線で一向に進まない.
「なんで、そういう事になるんだ」
ごうを煮やしたFさんは次第に抗議の論調を上げ30分ほど激怒の抗議を続けた.
ここで、一人の責任者らしい警官が言った.
「Fさんのいう事は良くわかります.しかし、判らないことも有ります.本署の方でもう少し伺いたいと思います。今、連絡を取りますのでしばらくお待ちください」
「よし、本署だろうがなんだろうがそこに行って言う」とFさんは啖呵をきった。
5分ほどするとパトカーが迎えにきた.
勢い良く乗り込むFさんとちょっと不安なAさんと私でした.
<2R終了 10:8でとりあえずFさん優勢>
…休息
パトカーに乗った私は酔いが醒め『結構まずいことになった』と考えたが仕方ないとあきらめていた.
そして、一つのことを試してみた。
「気持悪いんですけど、ちょっと停めてもらえますか」
「すぐそこなんですけど、待てませんか」
「だめみたい」
「じゃあ、そこに停まりますから」
意外とあっさり停めてくれた。よし、これは使える、次に備えて多少気持を持ち直した私でした.
<<3R
>>
やはり、戦いの場を本署という相手の陣地内に移したのは大失敗でした.
つまり、私達3人は事件の容疑者として扱われることになりました.
本署につくと直ちに3人は個別の部屋に分けられ、事情聴取というより取り調べという形で行われました.
私は2階の広い部屋の片隅に座らされ、背広の刑事らしい人と、もう一人がつきました. このだまし討ち的なやり方に腹を立てた私は、小さな徹底抗戦を誓いました。
私はどんな立場でここにいるかとその人に尋ねました
「それは、今からお聞きしていきますのでご協力下さい」
「それなら、私は重要参考人ということで協力しましょう」
ひととおり、事件のあらましを聞きたいというので、バックで殴った(面)部分は当たっていないのではとぼかし説明した.
背広の刑事さんは言うとおりに書くと言いながら、とうとう
「ケンカを止めに入った、一般市民を逮捕しようとした」
という部分は書き入れませんでした.
そのうち、飲酒検査をするというので拒否しました.
するとジーパン刑事みたいな人がでてきて、
「やれって、言ってるのに、なんでやらねんだ!」
私服刑事まで、出てきました.
「この人は誰ですか?」私の落ち着いた態度に背広の刑事さんはジーパン刑事を引っ込めてくれました.
そこで、例の気持悪い作戦を実行するとトイレを案内してくれたので帰りがけに目を盗んでポカリスエットをしこたま飲んだ私でした. (私は、飲酒検査はやばいと思ったんですけど、あとで聞くと罪を犯した場合は酒が弾みということで軽くなることもあると知りました)
そんな私の事情聴取はこ1時間くらいで終わったのですが、重要参考人の私は強気で
「私は、重要参考人なんでしょ、事情聴取が終わったら返してくださいよ」と警察を試していた.
「他の2人も仲間なんでしょね待ってあげなさいよ」と引き止められた。
「俺は、あんな2人なんか仲間じゃねぇよ、なんで返してくんないの?もう、帰りの電車がないけど、家まで送ってくれるんでしょうね」
どうやら、私を引き止めるには訳があったらしい
主犯のFさんは『面取り』の暴行は立件が難しいとして、小便の軽犯罪(謝罪すれば不問)を認めればみんな返してやると司法取引?を持ちかけられていたが最初は拒否していたらしい.
しかし、おまえの仲間はおまえが『うん』と言わないと返さないと脅されたらしい.
自分はともかく仲間思いのFさんは、仕方なく警官を睨んだまま頭を低くして『今、謝ったよな』と意地を通して謝罪と認めて貰ったらしい.
Aさんは素直に飲酒検査を受けたので、『逮捕されそうになった』は信憑性が薄くなり、順調な取り調べて終わったらしい.
こうして、罪を認めさせることに成功した警察は、3人を集めると身許引受人として職場から上司を呼び出すと言い含めて放免するのでした.
<3R 終了 TKOで警察の勝ち>
余談1…放免されると3時をまわっていましたが、朝の5時までやっている居酒屋にいって感想戦を繰り広げる3人でした.
余談2…親父が地元の町議会選挙の総責任者をやっていた時のことで、大勢で警察に事情聴取に呼ばれることがありました.
親孝行な私は、適切なアドバイスが出来るにも関わらず黙って送り出してあげました.
このことは、まだ親父には言ってません、ご内密に・・・?10年以上前のことなので時効ですかね.
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作 …2002,1,12
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